
現役の食材卸の営業、らいすたです。
コロナの影響で、宿泊業は壊滅的です。
果たして、アフターコロナの時代に宿泊業はどうなっていくのか。
現場の状況を踏まえながら、検証していきたいと思います。
スポンサードサーチ
コロナで宿泊業が厳しい理由がコレ
理由はたくさんあります。
が、総じて言えるのは『黒字化するほどの集客がない』のが原因です。
普通の飲食店と違い、ホテルや旅館の運営には様々な『経費』がかかります。
『経費』の種類は、『固定費』である『人件費』『賃料』『減価償却費』、『変動費』である『光熱費』『食材費』『アメニティ費』などがあります。
つまり、通常の飲食店とは違い、『固定費』『変動費』が異常にかかる業態なのです。
現場の女将に確認したところ、冷凍庫やボイラーなどで月100万もかかるらしいです!
ですから、黙っていても経費ばかりかかり、営業しなくてもお金が飛んでいくのです。
また、中途半端に営業してしまうと、『人件費』『食材費』が追加でかかることになり、より『経費』が増加してしまいます。
つまり、ある一定の稼働率(部屋総数当たりの宿泊している部屋の割合)がないと、『赤字』となるわけです。
まさに、営業してもしなくても『地獄』の状態です。
宿泊業が集客できない原因は何か
言うまでもなく『コロナ』の影響ですが、細分化して見ていくと、一体何が原因なんでしょうか・・・。
理由を検証してみました。
①、消費者の感染への不安により、観光しようという気になれない
②、県をまたいだ移動の自粛があるため、観光する消費者の母数が少ない
③、インバウンドが壊滅的で、それに依存していたホテルは集客できない
④、公的な機関(企業、組合等)の団体客が来ない
⑤、失業者が増加している大不況下で、観光への消費が後回しになっている
⑥、出張、会合が激減し、仕事で宿泊する機会が減っている
と、言った具合に集客できない原因は主に3つ。
『自粛による要因』『国の感染回避の措置による要因』『景気動向による要因』です。
スポンサードサーチ
コロナ禍で集客をするには、どうしたら良いのか
集客できないのが『自粛』『感染回避』『不景気』ならば、逆のことをやれば集客できるのではないでしょうか。
①、『自粛』に関して
県外からの集客ができない以上、県内のお客様から集客せざるを得ない状況です。
これまで県外やインバウンドをターゲットに宿泊プランを練っていたかもしれませんが、これからはローカリズムにも注力し、地元、県内の集客を対象にした『地元民おもてなしプラン』を実施するべきだと思われます。
県内の人からしたら、今までと同じように不特定多数の人が自分の住んでいる所に来るのは、不安を通りこして『怒り』までもが生まれてきます。
自粛警察がその例です。
しかし、不思議な事に(論理的には間違っていますが)宿泊しているのが県内の人であればある程度『安心』という風土が生まれます。
かといって、『地元民』しか受け入れないというのは、『差別』につながるリスクが生じます。
なので、部屋を地元民の部屋、県外やインバウンドの部屋に分けて、宿泊を受け入れる態勢を作っておくと良いと思われます。
②、感染回避に関して
『安心』であることが集客の第一歩であると私は考えます。
『あそこには行っても大丈夫』と消費者に安心感を抱かせる感染対策を実施している所が、今後集客できるところでしょう。
具体的には、『内閣府』の提言する業態ごとのガイドラインに沿った感染対策を実施するのが望ましいです。↓
https://corona.go.jp/prevention/pdf/guideline.pdf 内閣府 業種ごとのガイドライン
file:///C:/Users/owner/Downloads/1590044668.pdf 日本旅館協会 宿泊施設における新型コロナウイルス対応ガイドライン(第1版)
ガイドラインのすべてを遵守するというのは、かなりコストもかかります。
しかし、これは未来への投資であると信じ、ある程度コストをかけても実施する必要があると思われます。
ガイドラインによると、1に消毒、2に消毒と、とにかく至る所に消毒作業を実施するようにと記載があります。
また、宿泊者に対しても体温チェックや体調の確認、ソーシャルディスタンスを保つなど、宿泊業側から徹底させなければならないようです。
さらに、極力飛沫感染や接触感染しないように、『フェイスシールド』や『ビニールシート』を利用すべきと記載があります。
こういった指針がでている以上、逆にこのガイドラインを実施していない所は、消費者から指摘されたり、SNSで拡散される可能性がありますので、注意が必要です。
③、不景気に関して
総務省によれば、4月の日本の失業者は労働人口の約2.6%にとどまっていると発表しています。
しかし、実際のところ、雇用調整助成金を利用した『休業者』が『失業者』になってしまった際は、失業率は11.4%になるという見方もあるようです。(第一生命経済研究所 星野氏)
そうなると、MAXで800万人近くの失業者が出る可能性があるようです。
確実に不景気の波は来ているとみて良いでしょう。
しかし、一方で潤っている会社や経営者、個人もいることも事実です。
マスク製造者、消毒液製造者、ゲーム業界、テイクアウト業態などは、明らかに売上が増加しています。
そういう潤った人は、お金に余裕が生まれます。
宿泊業はそういった人をターゲットにして、会員制や招待制のサービスを実施してみるのも良いのでないでしょうか。
実際に、創業430年の老舗旅館はクラウドファンディングで名目は『固定ファン』を作るために支援を募っています。
旅館としては、運転資金を確保することもでき、ユーザーとしては『先払い』で旅館に宿泊することができるようになります。
お金というのは、行きつく人には行きつきます。
今現在、余裕のある人からお金をいただくようにして、当面の運転資金に充ててみてはいかがでしょうか。
Withコロナの時代では宿泊業は、何もしなければ衰退する
確実に今は時代の転換期です。
今までと同様のサービスだけでは、限界が出てきます。
資金力のある、体力のある会社なら、なんとか生き残れるかもしれません。
しかしながら、宿泊業はかなり経営が厳しいところが多いのが実情です。
運転資金を確保する、集客をできるところからする、先払い式の会員制・招待制にするなど、様々な工夫を実行して、なんとか存続してくれることをただ、ただ祈るばかりです。
どこかに泊まりたい、観光したいと言う想いは、人間の中で決して消えない感情だと思います。
一定のニーズがある以上、世の中にはなくてはならない『インフラ』です。
今を耐えれば、きっと明るい未来がくると私は信じています。