冷凍野菜は安くて便利だけど、本当に安全なのかな?
国産は何となく安心できるけど、業務用スーパーにある冷凍野菜、『中国産』ばっかりだった…。
農薬とか、異物混入とか一時期話題になったし、ちょっと心配だな…。安くて便利で、保存もできるから便利なんだけど…。
と、この記事では『中国産の冷凍野菜は果たして安全なのか』について解説していきます。
余談ですが、私は業務用食品の卸業界に9年おり、中国産冷凍野菜は100種類ほど食べて、その商品に携わってきましたので、その経験も活かしご説明いたします。
もくじ
結論:中国産冷凍野菜は『安全基準を満たしている』
『安全である』と判断した理由は、4つあります。
- 食品安全法や安全に関する法令が中国で制定
- 急速冷凍、ブランチングによる鮮度、彩度など品質の保持が可能
- 日本企業、あるいは子会社が中国で製品管理をしている
- 日本における『ポジティブリスト』の制度化
どういうことなのか、詳しく順番にご説明しますね。
食品安全法や安全に関する法令が中国で制定
2009年に制定された中国の『食品安全法』。
2002年3月に『中国産冷凍ほうれん草の残留農薬』の問題がメディアに取り上げられたのを受け、中国は食品安全に向けて積極的な取り組みをするようになりました。
この法律では、食品の製造、輸出入における安全性について定めています。
噛み砕いて法律の内容を説明すると、こんな感じです。
- 食品安全基準について
- 食品を生産、販売する上での検査・検疫基準について
- 食品の安全にかかわる事業主の監督責任や法律責任について
いわゆる食品の安全に関する全般的な法律ということになります。
食品安全法の実際の条文の中の引用です。
(長いので読み飛ばしていただいて結構です)
※元々中国語の文をグーグルが日本語に訳した物なので、変な所は解説しています。
第28条: 次の食品の製造および取引は禁止されています。
(1)非食品原料で製造された食品、食品添加物など人の健康を害するおそれのある化学物質を含む食品、または再生食品を原料として製造された食品
(2)病原微生物、残留農薬、動物用医薬品食品安全基準の制限を超える残留物、重金属、汚染物質およびその他の人の健康に有害な物質を含む食品;
(3)栄養成分が食品安全基準を満たさない乳児およびその他の特定のグループのための主食および補助食品;
(4)腐敗腐った、腐敗した、カビ、昆虫、汚い、汚れた、異物混入、異物混入、または異常な感覚特性がある食品;
(5)病気、中毒、または原因不明で死亡した家禽、家畜、動物、または水生動物の肉そしてその製品;
(6)動物衛生監督庁によって検疫されていないか不適格でない肉、または検査されていないか不適格な肉製品;
(7)包装材料、容器、輸送ツールなどによって汚染された食品。 ;
(8)食品の保存期間より;
(9)非包装食品ラベル;
(10)疾病予防およびその他の国は、食品の特別なニーズの生産および操作を禁止しました;
(11)その他は、食品安全基準または食品の要件を満たしていません。
中華人民共和国大統領の命令 中華人民共和国の食品安全法より 日本語訳 http://www.gov.cn/flfg/2009-02/28/content_1246367.htm
※1 (8)の『食品の保存期間より』は『(八)超过保质期的食品;』とあるので、こちらは『保存期間が過ぎた食品』ということ。
※2 (11)の『その他は~』は『(十一)其他不符合食品安全标准或者要求的食品。』と記載があるので、『その他食品安全の要件を満たしていない食品』ということ。
ざっくり言うと、『一般的に危険な物は取引禁止!!』ということですね。
また以下の条文は、『農林水産省』が『中国食品安全法に関する法令』を和訳した条文になります。
別に条文見なくても、中身を知りたい方は飛ばしてください(^^)
「本法の規定に違反して、商品検査機構の検査を受けなければならない輸入商品を報告せず、検査を受けずに無断で販売または使用した場合、または商品検査機構の検査を受けなければならない
輸出製品を報告せず、検査に合格せずに無断で輸出した場合、商品検査機構は不法所得を没収し、かつ貨物価格の百分の五以上百分の二十以下の罰金を科す。犯罪を構成する場合、法に基づき刑事責任を追及する。」
農林水産省 中国の食品安全法の関連法令(仮訳)中華人民共和国輸出入商品検査法 第25条
https://www.maff.go.jp/j/shokusan/export/pdf/kariyaku.pdf
要約します。
つまり、食品の輸入・輸出の際に『検査に合格しなかった場合は罰金』『法を犯せば刑事責任も問われる』ということです。
輸入・輸出となると、コンテナでの大型の貨物になりますので、仮に500g/200円の物が、5トンあった場合は、『10万円~40万円』の罰金となります。
『なんだよ、それだけかよ』って思う方いらっしゃると思いますが、『冷凍野菜』は商品単価が低く、利益はほとんどないわけです。
そんな中、出荷できない不良在庫になり、罰金までくらったら、赤字どころでは済みませんね。(倒産覚悟です)
そこまでのリスクがあるのに、あえて法を犯すのは通常考えにくいかと。
中国でも食品の安全に関しては厳格化されている…
急速冷凍、ブランチングにより鮮度、彩度など品質の保持が可能
基本的に『冷凍野菜』は、製品として加工する段階で急速冷凍をかけます。
その理由は『細胞を壊さずに鮮度の良い状態で、冷凍するため』です。
鮮度が良い状態で冷凍保存(‐18℃保存)をしておけば、栄養価も品質の劣化もほとんどありません。
また、『冷凍野菜』は基本的に『ブランチング』という、70%~80%まで蒸気や熱湯で加熱する作業工程があります。
この理由は、『野菜の酵素の働きを抑え、保存性を良くしたり、色素の保持をしたりする』役割があります。
つまり、『急速冷凍』や『ブランチング』によって、品質の保持しているのです。
冷凍野菜が『青々としている』のも、鮮度の良い状態で『ブランチング』して退色を抑えているからなんですね。
決して、『着色料』を使っているわけではありません。
ほぼ『生』に近い鮮度で品質が徹底管理されている。
日本企業、日本の子会社が中国で製品管理をしている
中国産の冷凍野菜を生産するために、『自営農場』や『契約農場』を活用して生産する食品メーカーも増えてきました。
また、中国に拠点を持ち、中国で製品管理する食品メーカーもたくさんあります。
代表的なのが、『ニチレイフーズ』『神栄』『イズックス』などです。
これらのメーカーは、『安全に対する指針』を制定し、『残留農薬検査』や『微生物検査』、『金属探知機検査』など実施しており、安全性の追究に余念がありません。
中国産の冷凍野菜は、非常に安いですよね。
それは、日本よりも人件費が安く、大規模農業に取り組めるだけの土地があるので、安価に作れているのです。(最近は中国の人件費も高騰してますが)
ただ、価格が安いからこそ、みなさんは『本当に安全なのかどうか』、やっぱり気になっちゃいますよね。
しかし、私は各食品メーカーの安全に対する姿勢や取り組みを見ると、『安全だ』と判断して良いと考えます。
企業努力で安全性が保たれている…!
日本における『ポジティブリスト』の制度化
2002年の『中国産ほうれん草残留農薬問題』が明るみに出て、日本では『食品衛生法』が改正されました。
その改正に伴い、『一定量を超える農薬などが残留する食品を原則禁止にする』という『ポジティブリスト制度』が導入されました。
もっと分かりやすく言うと、こういうことです。
やぁ、僕はブロコリ。
僕の体には農薬『ミナシナーヌ(仮)』が0.01ppm残っているらしい。でも、残留基準が決められてない農薬だから大丈夫だね!
あなた…『一律基準』に該当するからそれ、アウトよ!?販売禁止よ!?
な、なんだってーっ!?
だって、残留農薬指定にないってことは比較的安全ってことだろぉーっ!?
『ポジティブリスト制度』が導入になったから、残留農薬の基準が定められていない農薬でも、『0.01ppmを超えたら販売できない』ことになってるのよ!
そ、そんなー…。
要するに、『指定の農薬以外の農薬も一定の量を超えたら販売できない』ということです。
ただ、この『ポジティブリスト制度』はあくまで『努力義務』であり、罰則規定は残念ながらありません。
なのですが、この『ポジティブリスト制度』を食品メーカーが意識して製造しているのは事実です。(ニチレイフーズもHP上で言及しています↓)
ニチレイグループ6つの責任 https://www.nichirei.co.jp/sites/default/files/inline-images/csr/report/2006/pdf/report_08.pdf
以上のことからも、『ほうれん草事件』以降、日本国内でも食品の安全に関する意識は、高まったと言えます。
まとめ
『ほうれん草事件』以降、中国国内でも、日本国内でも安全に関する対策が積極的に取られるようになりました。
それに伴い『中国産冷凍野菜の安全に対する意識は高まった』と言えます。
私も、9年間様々な中国産の冷凍野菜を見てきたのですが、『品質も味も食感もかなり進化した』と感じます。
以前よりも『異物の混入』や『自主回収対象製品』が減ったというのも業務上で実感じています。
ただ、どうしても中国産は信用できないということでしたら、こちらの記事をご覧ください↓
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それでは、ここまで読んでくださいまして、誠にありがとうございました。