このサイトでは『冷凍野菜』の種類、特徴、安全性や栄養、購入関連、解凍方法、レシピなどの情報を発信しています。
私は食品商社歴9年の営業、『らいすた』と申します。
取り扱っている冷凍野菜の種類は約100種類、様々なメーカーの冷凍野菜も検品もしています。
『冷凍野菜』の情報を知りたい方には、お役に立てるのではないかと思っています。
冷凍野菜の定義~下処理済みで衛生的な冷凍の野菜~
『農林水産省』によると、冷凍野菜は『野菜冷凍食品』に分類されます。
『野菜冷凍食品』の定義は以下の2つを満たしたものとなっています。
野菜に、選別、洗浄、不可食部分の除去、整形等の前処理及びブランチング(製品の変色等の変質を防ぐための軽い湯通し等の加工をいう。以下同じ。)を行ったもの(ブランチングを行っていないものを混合したものを含む。)を凍結し、包装し、及び凍結したまま保持したものであって、簡便な調理をし、又はしないで食用に供されるものをいう。
農林水産省 野菜冷凍食品品質表示基準 第2条より
主 な 原 材 料 原材料の重量に占める割合の高い野菜の上位3位までのもので、かつ、原材料の重量に占める割合が5%以上のものをいう。
農林水産省 野菜冷凍食品品質表示基準 第2条より
長々と書いていますが、要するに『下処理済みで衛生的な冷凍の野菜』ということになります。
すぐ使える!!品質が安定!!それが冷凍野菜。
『冷凍野菜』の特徴~メリット・デメリット~
『冷凍野菜』のメリット
商品全てを使用できる=ゴミが出ない
先ほどの定義にあるように、冷凍野菜は『不可食部分を除去』しています。
言いかえれば、『冷凍野菜』は『全部食べられる』ということです。
生野菜には『皮』とか『根っこ』とか『芯』とか色々食べられない所がありますよね?
でも、『冷凍野菜』には捨てるところがないので、『生ゴミが出ない』というメリットがあります。
家の中に生ごみの臭いが充満するのはもう嫌だ…!!
冷凍していれば長期保存ができる
密封して冷凍していれば(-18℃推奨)、基本的に長期保存できます。
冷凍状態だと細菌や酵素の働きが抑制されるからです。
開封後はジップロックに入れたりや輪ゴム等で止めたりして、冷凍庫の冷気が入らないようにしましょう。
冷凍庫の冷気が入ってしまうと、冷凍庫の冷気の臭いが移ったり、冷凍野菜に霜がついたりして、品質が劣化してしまうからです。
これがいわゆる『冷凍焼け』という現象です。
冷凍状態で密封していれば、長く使える!!
生鮮野菜に比べ、値段が安定
冷凍野菜は『年1作』の物が多く、まとめて生産するため、相場が年単位で安定します。
しかし、生鮮野菜は流通量が少なくなれば、価格が上昇します。
冬場、レタスやキャベツなどが高くなるのは、生産が少ないからです。
その点、冷凍野菜は『メーカー』と『販売店』との約条で価格が決まっているので、そう簡単に変動することはありません。
野菜が高騰した時は、冷凍野菜が便利!
時短調理が可(ブランチングにより)
ブランチングとは、野菜を7~8割まで加熱する処理のことです。
元々のブランチングの役割は、野菜の『酵素』の活性を止め、栄養素や変色を防ぐことです。
ですが、このブランチング(加熱処理)のおかげで、『冷凍野菜』は生野菜より早く調理ができます。
外食や惣菜デリカなどで、冷凍野菜が重宝されているのは、『時短調理』ができるというのも理由の一つです。
常に時間との戦いの場では、冷凍野菜が重宝されている!
すぐ使える!!(カット済み、下処理済み)
袋を開けてすぐ使えるようになっているのが、『冷凍野菜』のメリットです。
じゃがいも、ごぼう、里芋など皮を剥いたり、下処理したりするのが、割と時間がかかります。
でも、冷凍野菜ならカットしてあったり、アク抜きしていたりと、とても便利です。
『自然解凍』で食べられる『冷凍野菜』もたくさんあります。
忙しい現代人の味方とも言える冷凍野菜!
デメリット
食感や風味があまり良くない(生野菜に比べて)
冷凍技術がかなり進化したとはいえ、残念ながら生の野菜には食感も風味も敵いません。
それは、これまで数十種類の冷凍野菜と生野菜を食べ比べた経験からも断言します。
冷凍野菜は、生野菜に味も食感も敵いません。
『冷凍野菜』が美味しくない原因に関しては、こちら記事をご覧ください↓
【げっ!!美味しくない!?】『冷凍野菜』が不味いと感じる3つの原因|冷凍食品のプロが原因と対策を解説。
味や食感を追求したい人は、『生野菜』を使いましょう。
冷凍庫が無いと、保存ができない(スペースも多く必要)
当然ですが、冷凍野菜を保存するには、『冷凍』スペースが必要です。
『冷凍野菜』は保存料が使われていないため、解凍後は一気に品質が劣化します。
冷凍庫に入らない場合は捨てる羽目になる可能性もあるので、ご注意ください。
ちなみに私の場合は、100Lの上開きの冷凍ストッカーを重宝しています。
セカンド冷凍庫に関しては、こちらの記事で詳しく解説しています↓
【冷食商社9年のプロ談】アイリスのおすすめ『セカンド冷凍庫』4選|気になる電気代についても解説。
冷凍ストッカーや広い冷凍スペースがあると解決!
買い物中に解ける可能性がある(品質劣化する恐れ)
結構あるあるですが、スーパーに行くと、色々買う物があってウロウロしますよね。
あと、買った後家まで帰るのに、結構時間がかかったりしますよね。
そうしている間に家に帰ったら『解けてた』パターン。
しかし、一度解けてしまうと劣化する野菜もあります。
そのせいで『不味い』と感じる場合もありますので、ご注意ください。
冷凍状態を維持することがポイントですね。
クーラーボックスに入れるか、通販を利用するのもアリ。
ざっくりと『冷凍野菜』のメリット・デメリットに関して説明してきましたが、『もう少し詳しく』という方はこちらをご覧ください。
【保存版】『冷凍野菜』を使う5つのメリット|冷食業界9年のプロが解説
『冷凍野菜』の種類~どんな『冷凍野菜』があるか~
冷凍野菜の種類は、市販用ではおよそ20種類くらいしかありません。
しかし、業務用では170種類くらいあります。
↓下記引用参照
冷凍野菜はわずか169種類ですが、スーパーの売場で見られるものは多くても20種類程度ですから、169というと、「そんなにあるの!」と驚かれるかもしれません。
独立行政法人農畜産業振興機構 意外とスゴイ、冷凍野菜 社団法人日本冷凍食品協会 総務部 部長 種谷 信一の記事より抜粋 https://vegetable.alic.go.jp/yasaijoho/joho/1111/joho01.html
ですから、業務用の冷凍野菜を含めれば、種類がとても豊富です。
ちなみに、この論文が出されたのが2011年の11月ですので、現在は冷凍野菜の種類はもっと増えています。
そこで私の食品商社での9年の経験を元に、商品化されている冷凍野菜をまとめてみました。
葉茎菜類(葉・茎を食用とする野菜)
ケール、小松菜、ほうれん草、春菊、葉だいこん、チンゲン菜、白菜、水菜、からし菜、畑菜、しろ菜、うまい菜、キャベツ、芽キャベツ、玉ねぎ、ニラ、青ネギ、アスパラガス、カリフラワー、ブロッコリー、ロマネスコ、モロヘイヤ、アーティチョーク、菜の花、にんにくの芽、タケノコ、マツタケ、マッシュルーム、しめじ、ひらたけ、ふくろたけ、エリンギ、なめこ等
根菜類(根や地下茎を食用とする野菜)
大根、人参、じゃが芋、さつま芋、里芋、かぶ、ごぼう、れんこん、山芋、ユリ根、くわい、ビーツ等
果菜類(果実または種実を食用にするもの)
揚げなす、煮なす、チェリートマト、ドライトマト、ピーマン、パプリカ、かぼちゃ、とうもろこし、ヤングコーン、いんげん、きぬさや、枝豆、グリーンピース、ゴーヤ、オクラ、ズッキーニ、冬瓜、空豆、ミックスビーンズ、レッドキドニー、ひよこ豆(ガルバンゾー)、大豆、スナップエンドウ、ラッカセイ、アボカド等
果物+一部野菜
イチゴ、スイカ、メロン、レモン、オレンジ、ライム、グレープフルーツ、ミックスベリー、ぶどう、マンゴー、白ブドウ、ブルーベリー、キウイ、パイナップル、ライチ、洋なし、リンゴ、バナナ、ラズベリー、ブラックベリー、さくらんぼ、マンゴスチン、ドラゴンフルーツ、パパイヤ、栗(栗は果物です)、ぎんなん(種子ですが)等
※あくまで分類ごとなので、カットや加工の種類まで加えると更に種類が増えます。
市販ではあまり出回っていませんが、業務用ルートだとこんなにあるんです。
『なんだよ、業務用しかないのか』と悲観する必要はありません。
今は市販スーパーでも『業務用』の取り扱いが増えています。
作られるってことは需要があるから。『冷凍野菜』はどんどん増えています!!
『冷凍野菜』の栄養素・安全性~本当に安全?栄養あるの?~
『冷凍野菜』には栄養がちゃんと残っている。
よくインターネット上で『冷凍野菜は栄養価が低いのでは?』という疑問が挙がっています。
しかし、実際は『加熱した生野菜』とさほど変わりません。
冷凍野菜はブランチングによりビタミンC が若干減少しますが、これは生の野菜を加熱調理する場合の減少と同じです。-18℃以下で貯蔵中の減少は極めて緩やかです。ほうれん草による実験では、-18℃で貯蔵した場合、ビタミンCの残存量が50%になるのは33ヶ月後ですが、生のほうれん草の場合、ビタミンC の残存量は収穫後4.5℃の低温で保存しても3日間で78%になり、常温25℃では、3日間でわずか56% になってしまうという実験結果もあります。
(出典: 生鮮食料流通技術研究会編「コールド・チェーン」)
つまり、生野菜でも加熱すればもちろん、保存しているだけでビタミンCが減少していくのです。
生野菜がスーパー等に並ぶ時、農家から流通業者を経由しますが、その時に保存状態が悪ければ、栄養価が損なわれてしまうわけです。
夏場の暑い季節では、『冷凍野菜』の方が栄養価が豊富な場合があります。
『冷凍野菜』の栄養価は決して低くない!!
『冷凍野菜』の『栄養素』に関しては、こちらの記事で更に詳しく解説しています↓
コレって嘘?ホント?【冷凍野菜では栄養は摂れない!?】|冷食のプロが大学の研究データを元に解説。
冷凍保存であれば長期保存できるので、保存料の添加はない
『本当に冷凍野菜に保存料が入ってないんですか?』という質問をネット上で目にします。
しかし、冷凍状態では細菌の繁殖がほとんどないため、保存料を添加する必要性がありません。
そのため、保存料は冷凍食品に使用していません。
しかし、変色や退色を抑えるビタミンCやpH調整剤を使っている物もあります。
例えば『冷凍とろろ』のパッケージの添加物表示欄には『酸化防止剤(ビタミンC』と記載があります。
ただ、カットブロッコリーやカットほうれん草などの『冷凍野菜単体』であれば原材料しか表記されていませんので、『冷凍野菜』には食品添加物も基本的には入っていないと捉えても良いと考えます。
冷凍野菜は冷凍するだけで保存ができるので、添加物はほぼ必要ない
『中国産』の『冷凍野菜』の安全性に関する記事は別記事で解説しています↓
【本当に安全!?】中国産の冷凍野菜の実態とは?|冷食業界9年の営業が解説。
冷凍野菜の購入関連(購入場所は?)
さて、今までご紹介してきた『冷凍野菜』ですが、どこで購入できるのか。
『いや、そんなの知ってるよ』と言う方は読み飛ばして大丈夫です。
一般的なスーパーで買う
市販用の小容量の使い切りタイプの冷凍野菜を買いたいなら、まさに一般的なスーパーがおすすめです。
ただ、冷凍庫のスペースさえあるのであれば、迷わず業務用をおすすめします。
市販用と業務用で2倍以上の価格差があるからです。
価格が安いのは業務用!!でも、冷凍庫の空き状況を見て購入を決めよう!!
コンビニで買う
セブン、ローソン、ファミマなど、大手コンビニでも『冷凍野菜』はたくさん置いてありますよね。
ここ3年で大分ラインナップも増え、『あ!明日のお弁当用にブロッコリーが欲しい!』なんて時には、重宝します。
セブンオリジナルの『オクラと長芋ミックス』『肉入りカット野菜』『ベーコンほうれん草』などは、ちょっと一品作るときには便利です。
しかし、市販用なのでやはりちょっと高め。
下記記事では、『セブン&アイ』で購入できるオススメの『冷凍野菜』をまとめています↓
『セブン&アイ』で買える超便利オススメ『冷凍野菜』10選|特に一人暮らし向け!!
明日のお弁当の具材が足りない!!そんな時に便利なコンビニ『冷凍野菜』
業務用スーパー・コストコで買う
豊富なラインナップがあるのは、やはり業務用スーパーとコストコです。
市販用ではあまり出回っていない『冷凍野菜』がたくさんあります。
しかし、種類がありすぎるがゆえに、『何を買えば良いか分からない』という声もありました。
そこで、こちらの記事で業務用スーパーのオススメの『冷凍野菜』も解説しています↓
【これだけは買ってもOK】本当にオススメできる業務スーパーの冷凍野菜9選|冷食のプロ監修
【比較まとめ】『業務スーパー』以外の業務用スーパーで買えるおすすめ冷凍野菜9選
コロナ以降は、冷凍食品の伸びがすごい!業務用食品も色んな市販のスーパーに置かれるようになりました!
通販サイトで買う
コロナショック以降、食材宅配も増えてきたと思いますが、冷凍野菜もアマゾンや楽天などの大手でも販売するようになってきました。
こちらの記事では『通販』で買える品質の良い例等野菜の記事です↓
【これが冷凍!?】通販のオススメ『国産』冷凍野菜13選|冷食業界9年のプロ監修
しかし、通販サイトでやはり圧し掛かってくるのが『配送料』です。
送料無料ラインまで多めに買うか、他の商品と混載して買うのをオススメします。
まとめ
『冷凍野菜』は、まとめると次のような特徴があります。
冷凍野菜のまとめ
①『急速冷凍』『ブランチング処理』により、品質が一定であり栄養価も豊富。
②『カット済み』『下処理済み』で時間の節約も可能。
③価格が安定しており、冷凍スペースさえあれば、長期保存が可能。
もちろん味や風味は『生の野菜』には劣りますが、それでも『冷凍野菜』は素晴らしい食品だと思います。
『冷凍野菜』のメリット・デメリットを理解した上で、『使い分け』していただければ嬉しいです。
冷凍野菜のレシピに関してはこちらで解説しています。良ければご覧ください↓
さて、長々と解説してきましたが、最後まで読んでくださいまして、ありがとうございます。
少しでも参考になれば幸いです。